技術・開発
2012/07/12
熱間金型用鋼「QT41-HARMOTEX」を開発
山陽特殊製鋼株式会社(社長 武田安夫、本社 姫路市)は、プレミアム商品の開発に力を入れております(本年5月には、新グレードの軸受鋼「PremiumJ2」を開発・量産化技術を確立)。 こうした取組みの一環として、このたび、金型の素材として従来からご愛顧いただいてきた熱間金型用鋼QT41(キューティーヨンジュウイチ)の特性を大幅に改善した「QT41-HARMOTEX」(キューティーヨンジュウイチ ハーモテックス)を開発しました。 QT41-HARMOTEXの靭性(※1)は従来材の約2倍、軟化抵抗性(※2)は従来材の約1.5倍。QT41-HARMOTEXを使用することで、金型の長寿命化が期待できます。なおQT41-HARMOTEXは、すでに一部ユーザーに納入しており、良好な評価を得ております。 ターゲットとしている主な用途は、自動車部品製造に使用されるハンマー鍛造用型やダイホルダーなど、特に高い耐久性が要求される金型や鍛造機部品が挙げられます。 |
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被加工材の温度が900~1200℃程度で使用されるハンマー鍛造などの金型には、代表的な熱間金型用鋼としてJIS規格鋼SKT4が使用されています。当社は、このSKT4に改良を加えた熱間金型用鋼QT41を開発し、長年ご愛顧いただいてきました。 当社は、こうしたニーズに応えるため、QT41の材料特性を大幅改善した新熱間金型用鋼QT41-HARMOTEXを開発しました。 |
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QT41-HARMOTEXは、合金元素を減少させながら、鋼材の組織を最適化することにより、種々の材料特性を向上しています。 炭化物の形態制御によって、靱性は従来材の約2倍に向上、金型使用時の割れ・欠けを抑制します。同時に、組織の熱的安定性を高めたことで、軟化抵抗性は従来材の約1.5倍に改善、金型の長期使用時の磨耗・ヘタリを抑制します。 QT41-HARMOTEXを使用することにより、金型の長寿命化が期待でき、金型費用低減に貢献します。また、型割れを抑制することで、設備休止による生産計画の阻害や、緊急的な金型手配等のムリ、ムダを削減します。 |
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当社は、第8次中期経営計画(平成23~25年度)の中で「『高信頼性鋼の山陽』のブランド力の更なる向上による企業価値の増大」を経営基本方針とし、「技術先進性の拡大」を重要施策の一つとして掲げております。QT41-HARMOTEXはその一翼を担うものです。 |
【用語解説】
(※1)靱性: |
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材料の割れにくさ、欠けにくさをあらわす特性。 |
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(※2)軟化抵抗性: |
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高温の被加工材から熱影響を受け続けることで金型表面に軟化が起こるが、その軟化のしにくさをあらわす特性。 |
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(※3)塑性加工: |
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材料に大きな力を加えて変形させることによって、目的とする形状に加工すること。 |
以上