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技術・開発

2009/07/17

第3回「ものづくり日本大賞」優秀賞の受賞について

 山陽特殊製鋼株式会社(社長 藤原 信義、本社姫路市)は、このほど住友電気工業株式会社(社長 松本 正義、本社大阪市)と共同で開発した「超高圧架空送電線用高強度インバー合金線」について、第3回「ものづくり日本大賞」において優秀賞を受賞いたしました。
 「ものづくり大賞」とは、我が国の産業・文化を支えてきた“ものづくり” を発展・継承していくために、ものづくり”に携わる優秀な人材を表彰する制度で、今回の受賞は、当社および住友電気工業株式会社の技術先進性の拡大に向けた積極的な研究開発活動が評価されたものです。
 

1.受賞案件

 

「超高圧架空送電線用高強度インバー合金線の開発と実用化」


2.受賞者(役職は受賞時点)

 

磯本 辰郎(常務取締役)
春名 靖志(Sanyo Special Steel U.S.A., Inc. 代表取締役社長)
松下 宗弘(調達部 原料グループ)
中間 一夫(研究・開発センター 高合金鋼グループ長)
仮屋 哲朗(研究・開発センター 機能材料グループ)
および住友電気工業株式会社ご担当者5名


3.開発の背景

   高圧送電線の中心部に組み込まれている芯線には、一般に鋼線が使用されていますが、大電力を送電した場合、熱膨張による伸びで垂れ下がるため、送電線を一定の高さを保つために送電量に制約を受けます。
 このため、既設鉄塔の高さを変更することなく送電容量を上げる場合、送電線の芯線には、熱膨張の少ないインバー合金線が用いられますが、芯線には、既設電線と同等の強度と、強風・積雪・振動時等の伸びやねじれに耐えるための(強度とは相反する)延性を両立することが求められていました。
 

※インバー合金:ニッケル(36%)と鉄を主成分とした合金。熱膨張が小さいという特性を持つ。電線の芯線用には、さらに種々の合金を添加して強度を高めている。


4.開発の内容と成果

 

 当社と住友電気工業株式会社は、合金設計と製造プロセスの両面から商品開発に取組み、芯線に求められる延性と低熱膨張性の双方を確保し、かつ量産が可能なインバー合金線としては世界最高水準の強度(鋼線と同等の強度)を持つ新たなインバー合金線の実用化に成功しました。
 この合金線を芯線に用いた送電線は、大電力を送電しても発熱による電線のたるみを抑制できるため、従来比2倍の電力を送電することが可能となります。また、従来の送電鉄塔に比べて高さを低く設計することが可能になり、電力インフラの整備にかかるコストと資源の節約にもつながるものです。


5.今後の展開

 

 電力需要は世界的に高い水準で推移するとともに、CO2削減に向けて建設される風力・太陽光・原子力などの発電所から電力消費地への長距離送電は今後増加するものと見込まれることから、送電容量の大幅な増大を計画している日本国内や、高圧送電線を新たに設置する海外の各国、地域において、インバー電線(芯線にインバー合金線を用いた送電線)の需要はさらに高まると考えられます。
 当開発合金の商品化以降、日本国内および海外の顧客から、送電線としての信頼性について高い評価を受けており、一層の市場浸透に向けて継続的な改善を重ねていく方針です。

 

インバー電線の構造

以上 
 



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