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技術・開発

2013/06/10

鉛フリー快削ステンレス鋼「QS12E」を開発-“鉛”を使わず環境に優しい グリーン調達化に対応-

 山陽特殊製鋼株式会社(社長 武田安夫、本社 姫路市)は、環境負荷の大きい“鉛(Pb)”を添加せずに、従来材以上の材料特性を持つ、“鉛”フリーのマルテンサイト系快削ステンレス鋼「QS12E」(キューエス・ジュウニ・イー)を開発しました。

 “鉛”を使用していないため、グリーン調達化や有害物質全廃を進める各種分野のユーザーの要望に応えることができます。
 

【開発の背景:有害物質の使用量削減に向けたニーズの高まり】

 近年、電子・電気機器における特定有害物質の使用制限を定めた「RoHS指令」をはじめ、環境負荷低減の観点から“鉛”は各分野で使用が避けられつつあり、今後、鋼材の“鉛”フリー化の要求はますます高まることが想定されます。当社は、こうしたニーズと社会背景に応えるため、マルテンサイト系鉛フリー快削ステンレス鋼「QS12E」を開発しました。



【マルテンサイト系快削ステンレス鋼とは】

 医療、食品、半導体関連など、クリーン環境で用いられる機械部品には「ステンレス鋼」が多く使用されます。その中でも、回転部品や支持部材等の強度が求められる用途には、「マルテンサイト系」ステンレス鋼が選ばれます。マルテンサイト系ステンレス鋼は、焼入焼戻しにより高強度化(高硬度化)できる特長があります。

 さらに、複雑かつ寸法精度の高い加工を施す必要がある場合には、優れた被削性(加工が容易なように、削りやすさを高めた特性)を付与した「快削」ステンレス鋼が用いられることがあります。


【「QS12E」の特長】

1.開発技術:“鉛”の代わりに“硫黄”を使用

 「QS12E」は、快削元素として、“鉛”の代わりに“硫黄(S)”を添加しています。
通常、添加された硫黄は、鋼中で硫化物となり、耐食性を低下させます。しかし、「QS12E」では、成分を調整することで、硫化物組成を制御し、耐食性の低下を抑えています。
一方で、「QS12E」は、硫化物が分散して存在することで、従来鋼(“鉛”使用鋼)以上の被削性を実現しています(※右図参照)。

 

2.製品特長:高い被削性と耐食性、さらに高強度化も可能

 「QS12E」は、従来の“鉛”使用の快削ステンレス鋼以上の被削性を有し、耐食性にも優れています。また、焼入焼戻しによって、高強度化(高硬度化)できるという、マルテンサイト系ステンレス鋼の特長も持ちます。このため、発錆を嫌う高強度部材に好適であり、特に重切削加工を受ける部品用途に適しています。

 

快削鋼イメージ。削りやすさを高めることで、
鋼材の加工を容易にしています。
 



QS12E SUS416
発錆なし 発錆

耐食性試験結果例
(相対湿度90%,20⇔50℃×20回サイクル)

 以上



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