技術・開発

超高清浄鋼製造技術(SNRP)

鋼の清浄度を極限まで高める技術
ベアリングや高強度自動車部品などの寿命・信頼性の向上に貢献

山陽特殊製鋼の主力商品である軸受鋼は、主にベアリングの素材として使用されます。ベアリングは高い荷重を受けながら高速で回転する過酷な状況で使用されるため、その素材となる軸受鋼には、その負荷に耐えられる強度と耐摩耗性に加え、優れた疲労寿命を持つことが求められます。
その疲労寿命を大きく左右するのが鋼中の非金属介在物の存在であり、ベアリングの寿命に大きな影響を与えます。
中でも酸化物系非金属介在物は極めて堅い性質を持つことから、ベアリング回転時に応力が集中し疲労破壊の起点となってしまうのです。介在物の量は鋼の酸素含有率を低減させることで減少することから、山陽特殊製鋼では、従来から鋼中に含まれる酸素含有量を低減させ、介在物の総量を抑えた高清浄度鋼を製造してきました。

SNRP~鋼が持つ優れた性能を極限まで引き出す新製鋼法

さらなる疲労強度の向上をめざし、鋼に含まれる非金属介在物の定量的な研究を進めた結果、その量だけでなく、「最大介在物の大きさ」も、鋼材の強度・寿命に大きく関わることを解明しました。 そこで山陽特殊製鋼では、「鋼材の性能を最大限引き出すために、鋼中の最大介在物の大きさをコントロールする」という独自のコンセプトに基づき、新製鋼法SNRP(Sanyo New Refining Process)を開発。 これによって生み出された“超”高清浄度鋼は疲労強度が飛躍的に向上し、「部品の小型・軽量化による環境対応・性能向上」を求める自動車関連ユーザーから高い評価を得ています。

介在物例の表と、疲労強度のグラフ

世界初のトロイダルCVTにも採用

軸受鋼のベアリング寿命例世界で初めて実用化されたトロイダルCVT(自動無段変速機)にも、山陽特殊製鋼の超高清浄度鋼が採用されました。 その他、自動車エンジンやミッション部品の小型・軽量化、特殊溶解材の代替、過酷な条件で使用されるベアリングなどの寿命・信頼性の向上に役立っています。
トロイダルCVT

介在物の大きさを統計的解析方法で評価

超高清浄度鋼を製造するうえでの重要なファクターとなる「最大介在物の大きさ」を評価するため、山陽特殊製鋼では「極値統計法」を採用しています。
極地統計法は、複数の基準面積に存在する最大介在物の分布から、ある面積内に存在する最大介在物の大きさを統計処理によって推定し、鋼の清浄度を評価する方法です。

極値統計法を活用した量産化技術

山陽特殊製鋼は、極値統計法を活用し鋼中の大型介在物の生成を抑制する操業技術の開発に取り組みました。 生産工程自体は他の特殊鋼工場と基本的には同じですが、清浄度の高い鋼を生産するための徹底した操業管理を行っています。その中でも特に精錬の強化と、大気・スラグ・耐火物などによる汚染の防止を徹底しています。例えば、超高清浄度鋼の清浄度を量産製造プロセスでも確保できるよう、スラグ組成の適正化、大気遮断方法の改善などで、精錬促進と汚染防止の最適条件を安定的に継続できる環境を整えています。

超高清浄度を確保する量産製造プロセス

(1)電気炉溶解
スクラップ(鉄屑)を溶解し、酸化精錬と昇温を行います。当社の電気炉は偏心炉底方式を採用し、炉底から取鍋へ出鋼することで、炉内で発生した酸化スラグが溶鋼に巻き込まれるのを防いでいます。
(2)取鍋精錬炉
酸化精錬した鋼の還元反応、合金添加による成分調整を行います。還元反応によって、酸素や硫黄などの不純物を取り除いています。
(3)RH脱ガス
溶鋼を真空槽内で循環させることにより、溶鋼中にある酸素、水素など、不要なガス成分を除去します。
(4)連続鋳造
溶鋼を鋳込んでいく(固める)工程です。連続鋳造は設備費が安い湾曲型が主流ですが、当社では完全垂直型連続鋳造設備を採用しています。垂直型の場合、凝固過程で鋼材を曲げることがないので介在物の偏在や割れが起こりにくく、清浄度の高い特殊鋼の製造に有利です。

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山陽特殊鋼株式会社

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